第85章

藤原眞義はゆっくりと顔を上げた。その顔に笑みは微塵もない。

「君自身が、まだここにいる」

地下三階の冷ややかな蛍光灯が一度明滅した。透明なカプセルの中にいる失敗作たちが一斉に目を開き、指でカプセルの壁をコツ、コツと叩き始める。その無数の音が重なり合い、聞く者の背筋を粟立たせた。

春の背中に一瞬で冷や汗が噴き出す。

「ボス、これマジで敵が湧きましたよ」

葵は藤原眞義の手に握られた二本目の注射器を睨みつけ、低い声で言った。

「あいつを私に近づけないで」

和也が即座に彼女の前に立ち塞がり、藤原眞義に銃口を向ける。

「一歩でも動いてみろ」

藤原眞義は彼を見やり、淡々とした口調で言っ...

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